Outlook2019(classic)から Thunderbird へ
作成:2025/11/07
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Thunderbird とは
Thunderbird とは Mozilla財団 が開発を始めたメール・ソフト(メーラー、メール・クライアント)である(現在は独立した営利子会社が開発)。ブラウザの Firefox、FTP ソフトの FileZilla とは兄弟関係にある。スマホ版(Android/iOS)もあるが、このページでは Windows11 のPCにインストールした Thunderbird を扱うことにする。
2025/11/06 現在の推奨バージョンは 2025/10/16 リリースの 144.0.1 である。業務使用などでバージョンアップのタイミングを選びたい方向けには「esr(Extended Support Release)」が追記されたバージョンが時々リリースされている。また、32 ビット版、ARM 版、macOS 版、Linux 版なども用意されている。
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Windows11 のPCにインストールして起動し、寄付を求めるメッセージを消し、いくつかのメールアカウントを設定すると、次の画像のようになる。
- 画像クリックで拡大。
ただし、これはいくつかカスタマイズがしてある。
- タイトルバーの左半分にあるいくつかのアイコンと文字(青い矩形)
- メニューバー(緑の矩形)
初期設定では上記の2つは表示されていない。画像右上の三本線アイコン(≡。赤い楕円でマーク)をクリックすると表示されるハンバーガー・メニューの「表示」で設定する。
Thunderbird を使い始めた理由
ここでなぜ Thunderbird を使い始めたかを説明しておきたい。

きっかけはマイクロソフトの Office 2019 が 2025/10/14 にサポート切れになると予告されていたこと。Office 2019 には、サブのメール・ソフトとして使っていた Outlook 2019 も含まれる。インターネットと直接やりとりするメール・ソフトがサポート切れになった状態で使い続けるのはまずい。かといってメインのメール・ソフトである Becky! Internet Mail では既に5つのメール・アドレスを設定していたので、更に多くしたくはなかった。
そこで、2024 年春の段階では POP 接続をサポートしていなかった Outlook (new) も、秋のバージョンアップでサポートするようになるという情報を得ていたので、10月にインストールして POP 接続を設定してみた。しかし、POP 接続はできたものの、
- メニューが勝手に英語表示になる。
- 時間表示が勝手に米国太平洋時間表示になる。
- 自動振り分け機能が無い。
- 受信したメールからメール・アドレスをアドレス帳に登録する機能が無い。
- インポート、エクスポート機能が貧弱(基本的に EML 形式だけ)。MSG 形式はメールの添付ファイルになってしまう。
- 謎仕様の OneDrive 経由で同期して送受信しているような......
と信頼を置けないことがわかった。
そこで、なんとなく避けていた Thunderbird を試そうという気になったのである。インストールして設定を色々調べていたら、Outlook から簡単にインポートするためのツールを備えていることが判明した。嬉しい誤算であった。
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ただし、「Outlook」が Outlook classic(MS Office の一員) だけなのか、Outlook new(Windows10/11 の「メール」後継の無料メール・ソフト)も対象になるのか不明。さらに、送受信設定もインポート対象かどうかも不明だった。
画面の部分名称
部分の名称がわからないと説明しにくいので、一応図解。
三本線アイコンをクリックしたハンバーガー・メニューから辿ったメニュー項目を図解に利用しているが、メニュー・バーの「表示」や左下の歯車アイコンをクリックしても同じ設定項目に辿り着ける。
- ツールバー
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- メニューバー:これは各ソフトウェア共通。
- クイックフィルターバー:検索して絞り込むための入力欄。
- スペースツールバー:左端の縦に連なったアイコン。画像では省略したが、下の方に設定の歯車アイコンもある。
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- 「ステータスバー」はウィンドウ最下部にあるが省略
- タイトルバーの左横のいくつかあるアイコンと文字の並びは「クイックツールバー」?
- ペイン
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- フォルダーペイン:アカウントやフォルダが配置されている。
- メッセージリストヘッダー:メッセージリストの表示オプション
- メッセージペイン:各メール全体を表示するためのスペース。
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- 「フォルダーペイン」と「メッセージペイン」の間は「メッセージリストペイン」?
メール・アカウントの作成
Thunderbird でメール・アカウント作成のメニューに入る手順は3つ用意されている。
- タイトル・バー右方の三本線アイコンをクリック ➡「新しいアカウント」
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- (メニュー・バーを表示している場合)メニュー・バーの「ファイル」➡「新規作成」➡「メールアカウント」
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- スペースツールバー下方の歯車アイコン(⚙)をクリック ➡「アカウント設定」➡「新しいアカウント」ボタンをクリック
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それぞれ、Webページ流、Windows 流、Visual Studio Code 流 というところか(爆) どれを使っても同じ画面になる。
2025年秋のバージョンである Thunderbird 144.0.1 では、「新アカウントハブ」を使ったアカウントの実験的作成方法が初期設定になっている。従来の方法が好みの場合は、「設定」→「一般」→「アカウントハブ」のチェックを外せば良いらしい。
いずれにせよ、上の手順で新しいアカウントの作成メニューに入ると、POP 接続では次のような画面になる。
① 氏名とメール・アドレスを入力する。
② メール・アドレスのドメイン・パート(@よりも右側)から推定された値が各項目に自動入力されているが、正しくないことが多いので、右下の「設定を編集」をクリック。
③ POP 設定画面に正しい設定値を入力する。「ユーザー名」は、メール・サービスによりローカル・パート(@よりも左)の場合とメール・アドレス全体の場合があるので注意。
④ SMTP 設定画面でも自動入力の設定値を修正する。入力を終えたら左下の「テスト」ボタンをクリック。
⑤ POP/SMTP の入力値が正しければ「次のアカウント設定が、指定されたサーバーを調べることにより見つかりました」というメッセージをが表示される。
⑥ パスワードを入力する。入力欄右端の目のアイコンをクリックすると、入力値が表示される。
⑦ 同期するべきアドレス帳とカレンダーはそもそもまだ作っていないのだから、見つからなくて正常。
⑧ 1アカウント分設定が完了。必要に応じて ①~⑦ を繰り返す。
ちなみに、Gmail アドレスを IMAP/SMTP 接続で設定する時は次のようになる(解説は省略)。
Outlook2019 からのインポート
IMAP 接続の場合、メールのデータはメール・サーバーに保存されるので、基本的にデータをインポートする必要はない。したがって、ここでは POP 接続でのメール・データがインポートの対象となる。
前述のように、Thunderbird には「Outlook」からのインポートができることになっているが、不明な点が2つあった。
- 「Outlook」が Outlook classic(MS Office の一員。2016/2019/2021/2024/365) だけを指すのか、Outlook new(Windows10/11 の「メール」後継の無料メール・ソフト)も対象になるのか?
- 送受信設定もインポートの対象であるかどうか?
少しネット検索をしてみたが、結局うまく情報を探せなかった。かくなる上は、自分が人柱になるのみ......(^^;;;
さて、「設定とデータのインポート」ツールを起動するには3つ方法がある。
- アカウント名か「ローカルフォルダー」をクリックしてスタート画面を表示し、「データをインポート」をクリック
- メニュー・バーの「ツール」➡「設定とデータのインポート」をクリック
- タイトル・バー右方の三本線アイコンをクリック ➡「ツール」➡「設定とデータのインポート」をクリック
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上の3つの方法のどれを選んだにしても「インポートツール」が起動する。
順調にインポートが行われた場合、「インポートツール」は次のような手順である。
- 「Outlook からインポートする」を選択して「次へ」ボタンをクリック。
- インポートされるデータを確認する。完了したら「完了」ボタンをクリック。
- 「Outlook インポート」フォルダ以下にメール・アドレスごとのメールデータのフォルダがインポートされた。
「Outlook インポート」フォルダから各メール・アカウントへの移動には、対象のフォルダやメールを右クリックした上で、コンテクスト・メニューを「他のフォルダーに移動」→(個々のメール・アカウント)→(移動先)と辿る機能が便利である。
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「インポートツール」を使ってみてわかったことは、
- インポートの対象となるのは Outlook classic(2016/2019/2021/2024/365 等)の POP 接続のメール・データである。
- IMAP 接続のメール・データは、受信トレイなどのフォルダは出来るものの、インポートの対象外。もっとも、データはメール・サーバーに保存されているので、インポートする意味がないが......(^^;;;
- 同じ Outlook と称していても、Outlook new のメール・データはインポートの対象外。
インポートに失敗する条件
前章ではインポートに成功した時の手順を説明した。しかし、Outlook classic の生きている POP 接続アカウントが存在しても、インポートに失敗する条件が存在する。私が把握しているのは次の2つ。
- Outlook classic と Thunderbird のビット数が異なる場合
- Outlook classic で起動時の「規定のプロファイル名」が設定されたことがなかった場合
前者は、例えば Outlook 2019 が 32bit 版、Thunderbird が 64bit 版の時が該当するが、ネット検索でも失敗する条件として広く認知されている。私も事前に検索していた。
後者は、私がハマって1日悩んだ条件である。実は MS Office を 2010 から 2019 に切り替えてからずっと「プロファイルの選択」パネルが表示されても、プロファイル名は表示されているし、「OK」ボタンをクリックすればメールの送受信が出来たので、Outlook2019 とはそういうものだと思っていた(爆)
不思議なことに、一度オプションの「規定のプロファイルとして設定」にチェックを入れれば、後にチェックを外してもインポートに問題ない。






